2008年 10月 06日
須賀敦子さん |
イタリアへ旅行すると決まったら、ガイドブックの他に必ず読むのが、塩野七生さんの本と
須賀敦子さんの本。
何度でも読んで、お二人の日本人から見たイタリアを感じ取り、それからガイドブックを
読む。そして、自分なりの旅程を組む。
実は私は今まで、一度もツアーで海外旅行に行ったことがない。
すべて自分で旅程を決めてきた。ホテルも飛行機も列車も。
ヨーロッパに行くと決めたら、本屋でThomas Cookの時刻表を買う。
今ではAmazonでも買えるけど、昔は大きな本屋さんでないと売ってなかった。
飛行機も、航空会社から時刻表を貰ってきたり、ホテルに至っては、FAXで連絡。
返事が来るまで、かなり時間がかかったホテルもあった。
それに比べると、今はインターネットで一瞬にして世界中の飛行機もホテルを予約できる
から本当に便利になった。
飛行機のマイレージポイントなんていいものもできたし。
だから、ますます自分好みの旅行ができる。
だいたい、子どもの頃からこれまでに読んできた本や観て来た映画で、旅してみたい国が
決まってきた。そして気に入った国、都市は何度でも訪ねてしまう。
そして美術館。
日本の美術館と比べたら、ずーっと安くで入館できる。(イギリスは殆ど無料でした)
ミュージカルもバレエも安い。
小学生の子ども達が、普通に遠足みたいに来ていたり、NYでは雨の日、中学生ぐらいの
男の子達が、友達同士でMOMAに来ていたっけ。
文化が生活に普通に根付いている・・・そんな感じがした。
日本も、せめて国立や公立の美術館は、大学生までは無料にするべきだと思う。
入館料が高くて、若い頭脳が芸術を吸収できないのは本当に将来の損失になると思う。
でも、今まで政治家でそんなマニフェスト掲げてくれた人、いたかしら?
いやいや政治家が決めなくても、役人が決めればいいのかな。
まあ、無理か。昨今のドタバタを見てれば、この国のリーダー達に文化だの芸術だのを
求めることなんて絶対に無理。
漫画を読むからといって若者に仲間として支持されるのではなくて、漫画を読んでいたと
しても尊敬される人に国を任せたいですね。
尊敬できる人、そして信条・思想に共感できる人、須賀敦子さん。
私はこの人の本を読んだのは、かなり大人になってからなのだけど、それでも一本筋の
通った生き方、考え方を知って、がーんと衝撃を受けた。
そして思った。もっと若い時に、須賀さんの本を読みたかった・・・と。
ところが、娘が高校時代、国語の授業で須賀敦子さんの文章が取り上げられていた。
すごく羨ましかった。
だって私たちの頃は、現国といえば夏目漱石とか、森鴎外とか、明治の文豪、少し下って
志賀直哉とか、せいぜい太宰治。評論は小林秀雄。
女性の随筆を、授業で取り上げていたことなんか無かった。
与謝野晶子とか樋口一葉、林芙美子ぐらいかな。
日本の文学史に残る名だたる人達の文章を学ぶことは、それはそれで素晴らしいの
だけど、ちょっと古すぎて、尊敬はできても共感はできないと、当時は思っていた。
もちろん娘達の時も夏目漱石は教科書に出ていたが。
そして、なぜか私の娘は、須賀敦子さんより、夏目漱石にはまって、一時漱石ばっかり
読んでいた。難しいのにね。
たぶん須賀さんの感性は、16~17才の若い子にはわからないのだろうなと勝手に解釈。
いいよ、いいよ。若いうちは大文豪の正統派で美しい日本語を学べばいいよ。
須賀敦子さんはそれからだ。
勉強して、働いて、恋をして、いろいろ世間に揉まれてから、それからでいいよ。
貴女に将来、好きな人ができて、その人に想いが届かなかったり、或いは恋が破れたり、
はたまた、仕事で行き詰まってしまったりして、旅にでも出よう・・・と思い立った時、
ママは須賀敦子さんの本を薦めよう。
・・・そんなことを、この芸術新潮10月号を読んで、思ったのでした。
ああ、またイタリアに行きたい!
by toco-luglio
| 2008-10-06 23:55
| 読書