2012年 08月 26日
夏休みも終わりなので…この夏の読書録(日本編) |
残暑お見舞い申し上げます
大変ご無沙汰しております(ほぼ2ヶ月ぶりです…)
八月も最後の週に入りましたが、今年は本当に暑いです。
暑さに弱い上に、人混みも苦手な私は、実を言うと鎌倉の夏が苦手です。
それと、春先から足の親指がちくちくと痛んでいたのですが、アメリカに行く頃には
ちくちくからずきずきに変ってきて、お茶のお稽古で正座する時まで痛むように
なってきていました。
とにかく、アメリカから帰ってきたら医者に行こうと思っていたのですが、帰国後は
いろいろと激しく、忙しくなってしまい、痛くても我慢できなほどではないので、痛みを
放置していたら、いつのまにか夏になってしまいました。
梅雨が終わってサンダルを履く季節になったので、ちょっと焦りが出てきたわけです。
我家がお世話になっている皮膚科は、いつもすごく混んでいるので、待つのが億劫で
ついつい先延ばししていたのですが、意を決して診察を受けたら…
「嵌入爪」でした。
爪の角が皮膚に食込んで痛んでいたのです。
治療を始めたら、結局、今年の夏はサンダルが履けなくなってしまいました。
よりにもよって…暑さが厳しい最中に…もっと早く行けば良かった(涙)
そういう足の不具合と、この期間に起こったいろいろな事件のせいか、何だか気持ちが
沈んでしまい、ついつい出不精になり「読書の夏」を過ごしていました。
ブログの方も忙しい間、ご無沙汰していたままになってしまって。
コメントを頂いた皆様、温かいお言葉を本当にありがとうございました。
沈んでいた気持ちも、オリンピックで、娘と同世代の若い人たちが大活躍してくれた
お陰で、何だか私まで元気になりました。
夏も終わるので、私自身も「再起動」します!
この夏の私の「読書録」日本編。
なぜだか、定期的に特定の作家を読み返したくなる気持ちが押し寄せてきます。
私の場合、大抵それは女性の作家なのです。
須賀敦子さんだったり、塩野七生さんだったり…そして今年はそれが向田邦子さんでした。
若い頃、読みふけった向田さんの小説やエッセイですが、その秀逸さにうなってはいましたが、
今ひとつ、理解できず、共感できないと思うことも多々ありました。
でも、何年か周期で読み返してみて、その度に胸をえぐられるような思いもしますが、
毎回、初めて読んだような新鮮な気持ちになるのは、自分が歳と経験を重ねていったから
なのかもしれません。
今回も、何度も読んだはずなのに「あれっ?これってこんなお話だっけ?」という気持ちに
なった小説がいくつかありました。
今回は、弟さんが書かれた随筆と、妹さんが10年ほど前に書かれた本も読んでみました。
感想は…邦子さんが不慮の事故で亡くなられた後、わりと早めに書かれた弟さんによる
お姉さんについての回想記に比べて、妹さんの「恋文」の方は、読まなくても良かったというか
知りたくなかった…という感じです。
向田さんの本は、これからも何年かおきに、ブームが押し寄せて読み返すと思うけれど、
「恋文」の方は、たぶん、今後はもう読まないと思います。
茶道を始めてから「きもの」に興味を持っている話をしたうちの夫に、Eさんのご主人様が
薦めてくださった本。
夫が読み終わった後に私も読みました。
日本のものだと思っていた絣や唐桟がアジアから渡ってきたものだと初めて知りました。
Kさん、ありがとうございました。
そして「きもの」といえば、幸田文さん、青木玉さん母娘。
「きもの」が当たり前に「着物」だった世代の幸田さんの本は上級者編で、私たちには
まだまだ難しいかな…
青木玉さんの本も続けて読んでしまいました。
老舗の酒屋の坊ちゃんで、慶応を出て戦前にアメリカに留学していたという玉さんの
お父様の挫折と凋落、別れ、そして、偉大な祖父と母を持った娘の葛藤…
身近にそういう人が多かった私には、人ごとではないような描写も多く、読みながら
涙を流してしまったこともありました。
NHKの大河ドラマ「平清盛」…何だか日に日に視聴率が落ちていくようですが…
なぜでしょう?私は去年のよりは、ずっと面白いと思うのだけど。
鎌倉に住んでいるせいか、どうしても源氏寄りに歴史を見てしまう傾向があったのですが、
今年の大河ドラマのおかげで平氏に興味が涌いてきました。
歴史関係の本を読んだ後に、頭の中で系統的に整理するために役立つのが「問題集」です。
歴史って、とにかく事実の延々たる積み重ねだから長いし終わりが無い。
そのまま、暗記するだけでは簡単には頭に入らない。
そこで、問題集をやってみると頭に入るのです。
問題集の問題は、よく練られて作られていますから、問題文や、選択肢を読むことによって
その「事実」が端的に頭に入ります。
しかも、一応「事実」だから、答は変らない…
(近年、分析や検証方法の発達や、新しい文書が出てきて、変ってしまうこともありますが)
だから、問題集をやってみることで、何度でも記憶のブラッシュアップができるのであります。
そういうわけで、今年人気だという東大の日本史の問題を元に書かれた解説書、これは
面白かったです。
歴史の苦手な人…特に理系の方に、ぜひお薦めしたい本であります。
「地図から読む歴史」は、現在は滋賀にお住まいの元京大教授が書かれた本です。
昔の地図から歴史を読み解いていくのですが、地図の好きな人にお薦めしたい本です。
夫が幼い頃に住んでいた町が、奈良時代にはもうあったことを知り驚きました。
朝の連ドラ「梅ちゃん先生」は「清盛」と違って大変好評なようですが、戦争が終わって
日本が再生復興する過程で、発展しながらも失っていったものも多いのだと、時に
ちくりと心が痛むシーンもあり、我家でも楽しみに見ています。
幸田文さん、向田邦子さんが描かれた戦前・戦中・戦後の日本の男、女、家族。
そして、高度成長期を迎えて、一気に「経済大国」への道を加速して突き進む昭和の日本。
男女の価値観、家族の形の変化を、関川夏央さんが、小説やドラマを元に読み解いて
いきます。
「金曜日の妻たちへ」っていうドラマが、私が若い頃に流行ったのですが、当時は全然
共感できなかったのだけど、今ならわかるのかもしれないですね。
同じ頃、流行っていた「男女七人夏物語」は同世代の中でも人気でした。
いずれにしても、昔のドラマって、それだけ面白くて話題性があったということなのでしょう。
私が民放のドラマを全く見なくなってから、もうかなり…久しいです。
「父が子に教える昭和史」は、学校では時間切れなのか、あまり習わない昭和史、特に
前の戦争について、子どもに聞かれたら、親としてどう答えるか…という視点で書かれて
いました。昭和史にあまり詳しくない娘にも読ませようと思っています。
そして「ヨシアキは戦争で生まれ戦争で死んだ」
昭和53年に日本テレビでエリザベスサンダースホームから巣立った子ども達について
特集したドキュメンタリーが放送され、海を渡った子ども達と、澤田美喜さんとの対面も
あったそうなのですが、その中で、アメリカ人の義兄に抱かれた写真でしか参加できなかった
スティーブ・ヨシアキ・フラハティさんがいました。
この本は、不幸な生い立ちのために、あのエリザベスサンダースホームで育った混血の少年が
養子としてアメリカに渡り、新しい家族、親友を得て成長していく様子を克明に綴っています。
アメリカに渡った後、優しい家族に愛情を受けて育ったスティーブ青年は、スポーツに秀で
大学に入った後、大リーグからもスカウトを受けるまでのスター選手になるのですが、
アメリカはベトナム戦争に突入し、スティーブは、将来を嘱望されていたにもかかわらず
20歳で軍隊に志願し、22歳でベトナムで戦死してしまうのです。
彼が軍隊に志願した理由は涙なしには読めませんでした。
スティーブ、彼の養家の人たち、ベトナム戦争の後遺症に苦しんだ親友、そして数奇な運命で
アメリカに渡ってきた実母。
それぞれの人生が、まるで、映画かドラマのようなノンフィクションでした。
最後に池波正太郎さんの「又五郎の春秋」。
今、娘が池波正太郎さんの「鬼平犯科帳」を読んでいます。
日本の「時代物」が読みたいらしいのですが、食いしん坊の娘は池波小説に頻繁に
登場する「食」が楽しみでもあるようです(笑)
その「鬼平犯科帳」が中村吉右衛門さんの主演でテレビドラマ化された時に、時々
重要な役柄でゲスト出演して、内容を引き締めていたのが、歌舞伎役者の中村又五郎丈。
小柄で、どちらかといえば地味な人なのですが、私は又五郎さんの、綺麗な立居振舞が
とても好きでした。
又五郎さんには息子さんがいらっしゃるのですが、歌舞伎界にしては珍しく息子さんを
役者にされなかった潔さ。
又五郎さんと親交のあった池波さんが書かれた粋な江戸前の男の人の半生記。
戦中戦後の歌舞伎界の様子も、いきいきと伝わってきました。
そういえば、潔い人も、立居振舞の綺麗な人も、最近は少なくなってきたような…
次回は、読書録の「海外編」でいきたいと思います。
by toco-luglio
| 2012-08-26 22:01
| 読書